地理的な関係から、ヨーロッパのアーティストを日本に招くのは非常にお金のかかることだ。長い間、一流アーティストにとっても日本にツアーに来ることはそう容易ではなかった。しかし近年、音楽プロモーター達は新しいアーティストに機会を与えることに積極的になってきている。これは、インターネットなどの発達などの影響により嗜好が多様化し、レベル・アップした日本の消費者の心をつかもうという新たな動きだ。Hostess Entertainmentは日本のプロモーター業界の中では比較的新しい存在だが、東京の中心部で開催、初来日のアーティストも参加する ウィークエンドのフェスティバルの告知をしたばかり。
Youth Lagoonは、今回参加することになったラッキーなアーティストの一人。22歳、アイダホ州ボイシ在住のTrevor Powers は比較的最近まで、アマチュア・ミュージシャンだった。彼のデビュー曲、The Year of Hibernationは心のこもった歌詞が柔らかいピアノと余韻の残るギターに乗せられ、聞く人を夢見心地にしてくれるようなアルバムだ。Trevorは不安と自分の内にいる悪魔との葛藤を潔く露わにしている。この悪魔というのが、このレコードのインスピレーションでもあるのだとか。今回、彼とコンタクトを図り、Youth Lagoonについてより詳しく教えてもらうことができた。
アイダホから東京までは長い道のりですが、今回日本に期待していることと、日本で演奏することについての思い入れなどありましたら教えてください。?
今からワクワクしているよ。特に期待していることっていうのはない、だってどんな風だか全く想像ができないからね。日本やその周辺の国に行くのは今回が初めてなんだ。
デビュー曲The Year Of Hibernationは人気を博し、評論家から高評価を得ましたが、これを書いていたときこれほどまで反響があると思っていましたか?
全然。僕とって創作活動をしてレコーディングすることは大切だからやっているっていうだけの話。常に上を見続け、手掛ける音楽にも高いクオリティを求めていたけど、こんなに早くことが進むとは思いもしなかった。音楽は常に僕にとって個人的なものであり続けると思う。きっと死ぬまで書いていて楽しいとか、書かなければ気が済まないことをひたすら書き続けるんだろうね。だってそうせずにはいられないのだから。
何かの例え話であることを連想させるようなタイトルですが、これはアルバムをレコーディングするために12か月間籠ったりとかすることですか?
いや、そうではなくもっと精神的な意味で冬眠という言葉を使ったんだ。人と一緒にいたり、モノや出来事に囲まれたりしていても、どこか孤立を感じてしまうようなそんな感覚のこと。よくこういう状況になるんだけど、この言葉がぴったりだと思った。
初対面の相手に「どんな音楽をやってるの?」って聞かれたら何てお答えになるのですか?
答えない。(笑) だいたい自分の音楽の中のいくつかの要素を挙げることにしてるかな。エレクトロニックなサウンドをオーガニックなサウンドと混ぜ合わせるとかね。そうするとそんなこと言われてもさっぱりだから、みんな困惑した表情を浮かべるんだ。だからこの質問は嫌い。
CDを聞かせていただきましたが、とてもパーソナルな仕上がりで、サウンドに独特の深みがありますね。ライブでこの雰囲気をつくるのは難しいですか?
ライブでのパフォーマンスには自信があるんだ。一緒にツアーをするギタリストは親友だし、キー操作やプログラミングは歌いながら自分でしてしまうからね。
Trevorさんの曲は明らかにご自身について考えたことに基づいて書かれていますが、こういった内容はご自身が有名になればなるほど聴き手にとっては感情移入しづらくなるということはないですか?
どんな人であれ秘密は持っているでしょ。エルビスだろうが、隣の家のミドル・ネームも分からない子供だろうが、自分にしか知りえないことがあるはず。自分だけが真に感じ取れること。音楽というものがこの世に存在し始めたときから、内省という作業は大切な役割を担っていたと思う。音楽は僕にとってパーソナルなものだけれど、自分の置かれた環境を見つめなおす方法でもあるんだ。
ご自身をスピリチュアルな方だと言っておられるのを目にしましたが、どういった点においてですか? またこのことは作品に影響しますか?
僕は自分のことを間違いなくスピリチュアルだと思っている。人々が言う神という存在よりも真の神とは何なのかについて知ることに興味があるね。皆が気づき始めているのは、人間に魂が宿っているか、そしてそれに何の意味があるのかを探求するような(宗教などにおいての)スピリチュアルな人の多くは、実は最も心の狭い人であったりするということ。結局すべては議論や評価の領域でしかないし、何か下心があるからこそ他人に好意を示す者も少なくない。これは僕にとってはすごくもどかしいね。とにかく、スピリチュアルな世界が僕のものの見方を変えてくれたから、僕が創り出すものにも当然その影響は出ていると思う。
今回の東京でのラインナップの中で、特に影響を受けた人や、共演するのを楽しみにしているような人はいますか?
会うのが待ちきれない人はたくさんいる。今のラインナップされいる中では、Bradford Coxはあこがれの存在で尊敬していたから、ぜひ彼に会って話をしてみたいね。
Youth Lagoon は恵比寿ガーデン・プレイスで行われるHostess Weekenderに出演予定。各日ごとのチケットの他に、全てのライブを見たい人のための2日間通し券が用意されている。
日時 : 2月18日(土)、19日(日) 13時オープン、14時スタート
18日(土) THE HORRORS / WU LYF / ZULU WINTER / YOUTH LAGOON他
19日(日) SPIRITUALIZED / ATLAS SOUND / TORO Y MOI / ANNA CALVI / PERFUME GENIUS
チケット : 前売り1日券7900円、2日間通し券13900円*
*税込、ワンドリンク・オーダー制
前売り券についてのインフォメーションはこちらをご覧ください。
執筆:Mark Birtles
翻訳:小堤 明日香
2012年2月3日
