The Vaccines

The Vaccines – “We don’t want to start name-dropping” Main Image

今年のフジロックの出演アーティストが発表されたとき、The Vaccinesが入っている知って筆者は大喜びした。今回が初来日ということもあり、このガレージ・ポップの4人組の名前はまだ日本では聞きなれないかもしれないが、英国の音楽ファンを自負する人間ならだれでも知っている有名バンドだ。2010年6月に結成されたばかりで話題を呼んだこのバンドは、今年3月にリリースされたデビュー・アルバム“What Did You Expect From The Vaccines?”で全英ヒットチャート4位という驚異的な記録を打ち出した。ここから、NME紙の寵児となったばかりでなく、Debbie HarryやFranz Ferdinandのシンガー、Alex Kapranosといった面々もファンに取り込んでいったのだ。日本デビューに先駆け、メンバーの一人Arni Arnasonと、フェスティバルとその衛生状態から、 はたまたMerzbowについてなど話をする機会が持てた。

The Vaccinesは旋風を巻き起こしてのスタートでしたね。デビュー・アルバムはアルバムチャート第4位、そしてBBCの「サウンド・オブ・2011」では第3位にランク・インしました。これは快挙と言っていいのではないでしょうか?
うん、そうなんだろうね。僕らは、そういったランキングが何のためにあるのかよく分かってなかったから、ほとんど無関心だったけど。自分たちのことに対して評価してもらえるのは本当に嬉しい。そう、だからとても快感だったよ。

こういった華々しい成功を味わってしまうと、自分のペースを失わず、地に足をつけて活動を続けていくのは難しいものですか?
いや、別にそんなことはないよ。僕らは長い間、音楽に携わったりミュージシャンだったりしたわけで、その間失敗や挫折も経験してきた。そういう過去があるからこそ、ほんの数年でここまで築き上げるよりも、今の環境を享受することができてると思う。僕たちはかなり野心的で、自分たちのコントロールできるもの、言い換えれば本当に大切なことにだけ全力を注いでいきたいと思っている。つまり、これからリリースしていく楽曲や、それらのライブでの見せ方についてね。人々がそれらについて考えたり、言ったりすることについてはこちらはどうにもできないのだし。

皆さんの前回の来日は、メンバーのJustinが喉の手術をしなければならなくなったことでキャンセルされていますね。そのときはどうお感じになりましたか。Justinはその後完治されたのでしょうか?
あのときは本当にどうなることかと思った。今思えばちょっと心配の多い時期だったね。Justinは当時復帰を妨げる健康問題を抱えていたから、一度ちゃんと休養を取る必要があったんだ。でもその強制休養のあとで日々回復していって、手術前よりも元気になってしまったくらい。

The Vaccines front-man Justin Young

その体験を乗り越え今回、フジロックという大舞台で演奏されることに、興奮を覚えられるのではないですか?
信じられないくらいだよ。今年のこれだけ早い時期に日本に来られるのを僕ら全員本当に楽しみにしているし、フジロックに参加できるのも最高に嬉しい。このフェスティバルについてはいい話しか耳にしたことがないから、早くそれらを自分の目で確かめてみたい。もう今から心を奪われっぱなしだよ。

フェスティバルの来場者に対して演奏するのはご自身のライブで演奏するのと違うのでしょうか。違う場合、どのような点が違いますか?
それは全く違うね。僕らのライブに来るお客さんは僕らのことが見たくて足を運んでくれるわけだけど、フェスティバルではちょっとした興味本位で来てるだけかもしれないし、そのバンドのことをよく知ってるとも限らない。一体、どんなことをやってるのか覗きに来てるって感じ。だから、フェスティバルのためには、普段にも増して入念に準備しなければいけないんだ。誤解しないでくれよ、チャレンジに立ち向かうのは好きだし、お客さんが時間を費やしてくれるのだからそれに見合うような演奏をするために頑張ってるってことさ。

フェスティバルで最もいいこと3つと、最も嫌なこと3つを挙げるとすれば何ですか?
それぞれのフェスティバルはみな各々違っている。果てしない数のフェスティバルをこなしてきているからすぐにそのことに気づいたね。でも僕は一観客としてフェスティバルに行くことも大好きなんだ。週末の間ずっと興奮を分かち合える感じや、これまで出会ったこともない人たち、そしてもしかしたらもう二度と会わないかもしれない人たちと出会えるのがいいね。それに何より新しい音楽を発見する機会になるのがいい。嫌なのは、テントでの睡眠、フェスティバルで出される食事と、それから衛生的な問題かな。フェスティバルから帰って最初に浴びるシャワーは、一生の中で最高のものだね。

日本についてはどのような印象をお持ちですか。
まだ行ったことがないから、これから行くことが楽しみでならないけど、今の印象といったらどんなところか人から聞いた話に基づくことだけ。日本の人たちは本当にフレンドリーで、とても美しいところだとか。技術的にも最先端で、あとは本当に面白い場所だって聞いてる。Melt Bananaっていうバンドとか、Merzbowっていうアーティストのこと知ってる? 正直言って、日本のことはそれくらいしか知らないんだけど。

Photo credit: Roger Sergent

メディアでは、皆さんの音楽はどちらかというとレトロの部類に入れられていますが、これには納得していますか?
ある程度のところまでは分かる気がする。僕らは昔ながらの、ポップ・ミュージックの王道たる音楽が好きだからね。最高のポップ・ミュージックは50年代、60年代に作られたと思っていて、この頃のパーフェクトなポップ・ソングの探求から大きな影響を受けているよ。だから、その頃の音楽を追っていると当然レトロなサウンドになってくる、だって当時のポップ・ソングよりいいものはその後出てきていないのだから。まあ、少なくとも僕らに言わせればの話だけど。でも僕らはレトロだとかモダンだとか関係なしに、時代にとらわれない音楽づくりをするように努力しているんだ。僕らの音楽は一定の時代や場所に当てはめられない、っていうのもいいんじゃないかと思って。

皆さんの初のロンドンのライブは、Alex Kapranos や White Liesといったインディーズの重鎮が足を運ぶという、有名人に囲まれたものとなりましたね。このときなどは、これらのスターに圧倒されたりしてしまうものですか。
そんな大したことじゃないよ。彼らのようなミュージシャンたちはロンドンに住んでいて音楽イベントに顔を出したりするから、僕らの初ライブみたいなところに来るのも珍しいことじゃないさ。僕にとって個人的に意味を持つ人でなければ、有名人だろうとそうでなかろうとその人の迫力に圧倒されることはないね。まあ、Nick Diamond(The Unicorns, Islands)に会ったときは緊張したけど、普通は誰かのせいで緊張するようなこともあまりない。

特に仲良くしている、もしくは関係が悪いようあ有名人はいますか?
まだ誰とも関係が悪くなるようなことはないけど、楽しくて面白い人たちにたくさん会ったよ。でもここで名前を引き合いに出すようなことはしたくないな。

最後にお尋ねしますが、皆さんが(バンド名の)「ワクチン」だとするなら、一体何の病気に対するワクチンなんでしょうか?
あのね、この質問は100万回くらいされたけど、まだうまい答えが見つかってないんだ。そろそろ本気になって考えとかなきゃいけないね。まあ、今のところは「退屈」に付ける薬とでもしておこうかな。

今年のフジロックで、ぜひお会いしましょう。(7月29日から31日まで)

3日通し券:¥39,800(税込) ⇒ 【先行販売特別価格】¥39,000(税込)
1日券 ¥16,800(各日限定 10,000枚)

購入方法の詳細は公式ホームページで。 Fuji Rock Festival website

執筆:Mark Birtles

翻訳:小堤 明日香

2011年7月19日