Noah and The Whale: この次はTom Waitsのマリンバの音色を!

Noah and The Whale – We Want Tom Waits On Marimba! Main Image

ロンドン東地区のシナゴーグ*でアルバムを作るなんて誰が想像するだろうか。Noah & The WhaleのCharlie Finkは、二作目のアルバムThe Fist Days of Spring (2009)に続く新しいアルバムを、そんな予想もしない場所で書き上げた。新作アルバムLast Night on Earthで、成長した姿を見せたNoah and The Whale。Laura MarlingやMumford and Sons, そしてEmmy TheGreatらを生み出した音楽シーンから、新たな進歩を遂げたようだ。

そんな彼らは、今年のフジロックフェスのフィールド・オブ・ヘブンステージで日本デビューを果たした。観客は期待通り雨にも負けない元気な集団だった。ライブショーの後、Tokyo Indieは幸運にもCharlieとTomと話をすることができた。

Tokyo Indie (以下TI):ステージから降りてきたばかりですが、どうでした?

Charlie Fink(以下CF):素晴らしかった。最高だった。これが日本での初ステージ。ずっと来たかっんだけど、なかなか予定が合わなかったんだ。

Tom Hobden(以下TH):フジロックから始まるなんて幸運だ。これ以上に大きなステージはないから。フェス自体も楽しいし。

TI:日本の観客についてはどう思いましたか?

TH:最高だね。

CF:うん。正直に言うけど、こんなに雨が降ったら、イギリスの観客はもっと元気がなくなるよ。日本のみんなは元気だね。本当に楽しかった。

TH:みんなしっかり装備してるね。macのウォータープルーフジャケットとかポンチョとか!

TI:それが日本ですからね。フェスを終えたばかりですが、日本ではあまりゆっくりする時間がありませんね…。

CF:ラッキーなことに、東京で3日間自由に遊ぶ時間があったんだ。

TH:そう、それなりに遊んだよ。お寺を訪ねたり、いわゆる観光をしたメンバーもいた。レストランでおいしいご飯を食べて、買い物もした。日本の食べ物がおいしくてびっくりした。

[Charlieうなずいて同意]

CF:日本にはどのくらいいるの?

TI:僕?もうすぐ3年ですね。待って、質問するのは僕ですから!!

[CharlieとTom笑う]

CF:日本語は?かなり話せるの?

TI:マイペースだけど、上達はしてます。

CF:難しそうだよね。

TI:その通り。…それで、もし週末もここに残ってフェスを見られるなら、どのバンドを見たいですか?

TH:もし残れるなら、Wilcoを観たいな。

CF:ああ、それから『Yellowなんとかオーケストラ』の話を聞いたんだけど…

TI:Yellow Magic Orchestraのことですか?

CF:それ!  今まで知らなかったんだ。でも話を聞いた限り、すごいバンドらしいね。観られなくて残念だ。

TI:次はオーストラリア。かなりハードなスケジュールのツアーらしいですね。

CF:うん、すごいよ。今日は日本、日曜日にオーストラリアで、ライブが1つ。そのあと、オーストラリアでまた2つライブをやってから、カナダ、そしてシカゴ。

TH:それから母国イギリス!

CF:これを一週間でやり遂げる。終わる頃に死んでなければいいけど!

TI:新作のアルバムはイギリスで発売されているようですね。評判はいかがですか?

TH:かなりいいんだ。今やってるのは、3作目4作目のシングルがラジオで流れてるよ。

CF:これで3枚目のアルバムだ。過去2枚のアルバムを合わせても、今作には勝てないよ。これって、素晴らしいことだよね。3枚目のアルバムを作るのは難しいんだ。たいていのバンドは3枚目まで辿り着けないから。

TI:スパンの長い成長だと捉えているんですね?

CF:ああ、そうだといいな。僕らは基本的に本能で行動するんだ。だから、曲作りの計画は立てない。それでもCDは出来上がるんだ。プレッシャーを感じたことはない。自分にもっと挑戦しようって、野心が生まれる。だって、成功すれば機会が増えるから。スタジオにも今より長い時間居られるし、録音にももっとお金を費やせるようになる。

TH:ただ、新しいものは、前回のものよりも確実に良いものになってなければいけない。

CF:“良いもの”ってかなり控え目だね。

TH:じゃあ貪欲に、“かなり良いもの”と言っておこう。

TI:ご自身の進歩はどのように計画するんですか? 

CF:今までの自分達を繰り返すことではできないことだと思う。過去の自分達と対立するんじゃなく、今までの自分達から新たな方向へ進歩しようと、いつも心がけてるよ。

TI:Laura MarlingやEmmy The Greatと競演したことがありますよね。女性ボーカルが入ると、いつもと違った空気になったのでは?

TH:その通り。

CF:それが目的なんだ。メンバーはこの数年で何度も変わった。女の子がバンドに居たこともあるし、ドラムが交代した。今回のアルバムから新しいメンバーが入った。常に新鮮なんだ。

TH:そしていつもみんなの注目を集めているんだ。そうだよね?

[Tom くすくす笑う]

CF:そうそう!

TI:では次は誰なんでしょう?

CF:誰が抜けるかって?

TI:まさか! 次は誰に入って欲しいかって聞いたんです。誰と競演したいですか?

CF:チャーリーとチョコレート工場にいて、たくさんあるお菓子の中から選ぶような気分だよ。分からないな…。

TH:おもしろい質問だね。誰と競演したいか…。

CF:今までになかったことを取り入れたいな。ホルン奏者とか、かな…。[Charlie、Tomの方を向く]ああ、そうだ。Tomは木管楽器が嫌いなんだった。有名な話だったね。

TH:そう、木管楽器に興味はない。タップダンサーはどうかな?

CF:いや、そうだ! Tom

TI:いいですね、次のショーには必ず行きますよ![一同笑う]and The Whaleを観たのは、リーズ(イギリス北部の都市)のAdelphiなんです。

CF:ああ! 覚えてるよ!

TH:そう、Adelphiでは何回か演奏したことがあるよ。

TI:今よりも自由で気楽だった頃に戻りたいと思うことはありますか?

CF:実はその自由だった頃って、そんなに昔のことじゃない。今はプロとして活動するのを楽しんでるよ。そうは言っても、昔を思い出すと「自由」って言葉が一番最初に思い浮かぶけど。質問の答えになるか分からないけど、バンドに所属している今、今までで一番居心地がいい。バンド内での役目も、バンドがやっていることも、全部含めて今が一番。

TH:長期間バンドにいることの一番の意味は、自分の役目をより確かなものにすること。

TI:それからTom Waitsにマリンバを演奏してもらうこと!

CF:それだ!

TI:今までを振り返って、一番心に残っている出来事は何ですか?

CF:2週間ほど前、スペインのBenicassimで行われたフェスで演奏したばっかりなんだ。5万人ぐらいの観客が僕らを見てた。あれは、すごかったよ。あんなにたくさんの人の集団なんて見たことない!  ステージ右からは群衆の端が分からなかった。「こんなステージで演奏するなんて、このバンドはやばいんじゃないか?」って思ったほど。最高だった。でも一度経験してしまうと、次からは「楽しかった。もう一度やろう。もっと大きなステージで。」と思うようになるね。

TI:最後になりますが、Tom Waitsのマリンバ以外に、今後のバンドの予定は?

TH:うん、今年の9月まではツアーの予定が埋まってる。

CF:よく思うんだけど、僕らって集中力が続く期間が短いんだ(いい意味でね)。いつも違うことをやっていたい。僕自身は、今作ではメンバー全員が思う存分表現できるように心がけようと決めたんだ。今まで日本に来られなかった理由も、これなんだ。一つの記録を作ったら、次へとすぐに移り変わる。今は外に出て、みんなに聞いてもらい気分だったから来たんだ。

TH:みんな僕らの音楽を聴きたいみたいだし…。

TI:日本のファンにメッセージはありますか?

CF:遊びまくれ!

TI:ははは。楽しかったです。ありがとうございました。

*シナゴーグ:ユダヤ教の礼拝堂

執筆:Mark Birtles

翻訳:永田 衣緒菜

2011年8月26日