Digitalism インタビュー

Digitalism hit Tokyo Main Image

すでに名の知れたミックスアルバムDJ-Kicksのリリースと、多数のライブをこなした夏のツアーを筆頭に、ドイツ生まれのエレクトロハウスデュオDigitalismは多忙な一年を送っている。10月の日本ツアー開始とともに、ますます忙しくなることだろう。Tokyo Indieは、そんなDigitalismのJenceとIsiにベルギーのPukkelpop Festivalにてインタビューをした。最近の活動や日本ライブではなにが期待できるのかを探ってきた。
「ライブ演奏を始めたのは5年前、アルバムIdealismを発表してからすぐのことだった」
Jemseはこう語りだしたが、Digitalismのライブパフォーマンスの起源をひと言で説明するのはなかなか難しそうだ。
「当初は僕ら2人と、2つのキーボードだけだった。僕らはそれまではただのスタジオプロデューサーとDJで、突然すべてが始まって広がっていった」
活動規模が大きくなるにつれてライブにはドラマーが登場し、ストリップライトやシンセサイザー、ドラムマシンなどが取り入れられるようになり、Digitalismは世界中のフェスティバルをまわるようになった。

しかし、今年のツアーは今までのライブのセットから無駄なものを取り払い、2ピースバンドへと戻った。
「去年のツアーではドラマーを連れて来ていたけど、今回は今までとはまったく違って新しいものだ」
Jenceはこう語る。
「古いシンセサイザーはぜんぶ置いてきた。今回は新たなテクノロジーをたくさん取り入れているんだ」
一昨年前に6ヶ月で90回のライブを達成したDigitalismが、「なにか他のことをする時だ」と思うのは当然である。今回のツアーは彼らにとってのいわゆる「音楽のルーツ」であるクラブミュージックに戻るようなもの、と2人は考えているようだ。Isiはにやけながら、「ちょっとだけdancy(ダンス向け)なんだ!」と語った。

クラブミュージックへの回帰のもうひとつの理由は、DigitalismのアルバムであるDJ Kicksのリリースである。このアルバムはTigaやCarl Craig、Kruder&Dorfmeiserのようなバンドが参加し、伝説的なミックスシリーズとしてまとめあげられている。
「僕らが今回のライブでやっていることは、最近DJ Kicksでやってきたことを反映している」
Jenceが説明する。
「アルバムには、“クラブミュージックへの回帰”を思わせる新曲が収録されている。僕らにとってこれは前進でありつつも、音楽的には始まりの地点へ戻っているから不思議だ」

“Falling”や“So Totally Good” のなどのアルバム収録曲はすでにライブでも演奏されていて、あらゆる方法でダンスフロアー向けにアレンジされている。Isiがこう話す。
「今年の初めにすでにライブでアルバム収録曲を演奏したけれど、お客さんの反応を見れたのが良かった。反応を見ることで、どのような演奏が求められているかがクリアになるんだ。例えば、6〜7分の演奏にしよう、もうちょっと長くしよう、とか、ダンスフロアで完璧な演奏をするように心がけている。うまくいっていると思う」

原点にに戻ることに対してJenceは「Digitalismの世界のサイクルが一周まわってきた」と表す。3枚目のアルバムも「なんでもできる」と意気込む。
「僕らの音楽は予想がつかないもの」
「その通り。僕らの音楽はまさに“冒険“」
Isiが付け足す。
「インディー・ジョーンズみたいなんだよ! 先が想像できなくて、突然なにかが動き始めるんだ」

Digitaismは10月5日に東京で、10月8日には大阪でライブを開催。「予想できないなにか」を期待しよう。

執筆:Sam Mokhtary

翻訳:永田 衣緒菜

2012年10月4日