The Whip – 日本ツアー直前インタビュー

The Whipは、シンコペーションのリズムとシンセサイザーによるグチャグチャ音と共にギターをかき鳴らすというスタイルが始まった時代、つまり2000年代中期にマンチェスターで生まれ、ネオンが特徴のジャンル「ニューレイブ」と後に分類されたバンドである。大ヒットシングル ‘Trash’ は、時を象徴するKitsune Maisonコンピレーションシリーズに取り上げられ、バンドの実力と勢いを証明した。デビューアルバム発表後、結成時メンバーのひとりDanny Savilleが脱退し、The WhipはヴォーカルとギターのBruce Carter、ベースのNathan Sudders、ドラムのFiona “Fee” Daniel の3ピースバンドとなった。日本全国ツアーのために今月末再来日するにあたって、BruceとNathanから近年の活動について語ってもらった。
日本には頻繁に来ていますね。日本の観客がThe Whipの音楽に共感するのはなぜだと思いますか?
Nathan:日本で行ってきたライブの中には、これまでで最高だと思えるものもある。だって日本の観客が素晴らしいから! 僕たちの音楽やライブは、できる限りのエネルギーを観客に与えて、ダンスに誘うこと。それがすべて。だから、日本の観客は共感してくれるのだと思う。僕らのライブでは、日本の観客はクレイジーになってしまうんだ!
Bruce:イギリス出身のバンドにとって、日本に行くことは特別なこと。僕らも日本に行くのが待ちきれない。なんで日本人が僕らの音楽を好んでくれるのかは分からないけれど、大好きな国の人が僕らの音楽を受け入れてくれるのは嬉しい。
音楽活動を始めて間もない頃に、「ニューレイブ」と分類されていますが、そのことで音楽のスタイルを変えたり、新しいことを始めにくいと感じたことはありますか?
Bruce: 存在すら気づいていなかった音楽シーンの一部になるのは不思議な気分だ。たとえどんなジャンルであっても、誰かが僕らの音楽の位置づけをしてくれることは悪いことではない。僕らが世間に広まり、多くの人に知られるようになったからね。
Nathan: 当時はこのバンドがニューレイブなんてシーンに関わっているとは思っていなかった。エレクトロかパンク・ファンクだと思っていた。バンドというものは、活動を続けていくにつれて影響を受ける人や音楽も変わるし、作曲する時に新しいサウンドやテクニックを試したくなったりもする。だから、バンドの音楽は少しずつ変わるものだと思っている。新しいことを始めるのは難しくないし、自然なことだと思うよ。
Bruce: 音楽シーンというのは、時にバンドを傷つけることもあるし、時が経つにつれて助けとなることもある。だけど、僕らはどんな時でも自分たちがやりたいことをするんだ。つまり、ダンスミュージックとディスコのリズムに合わせ、楽器とヴィンテージのシンセサイザーによる生演奏の、その勢いを伝えること。それが僕らの愛することであり、ダンスであり、そして実力なんだ。
日本での面白いエピソードはありますか?
Nathan:たくさんあるよ!
Bruce:日本滞在中は、時差ボケもあるし、興奮して何も見逃したくないという気持ちもあってほとんど寝ない。初来日の時にフジロックフェスに参加したんだけど、フェスティバルで最後の最後まで起きていたのがドラマーのFeeと僕だった。それで、野原の頂上に置かれたロンドンのブラックキャブ(タクシー)に座っていたのを覚えてる。かなりシュールだったよ。
Nathan: フジロックフェスの時に、FeeがThe Chemical BrothersのメンバーTomの帽子を取り上げたから、Tomは帽子を取り戻そうと、一晩中バックステージ内でFeeを追いかけ回っていたんだ。日本ではいつも楽しいことばかりしている。中にはみんなに教えられないこともあるけどね。
昨年、Brixton AcademyでNew Orderと競演していましたね。素晴らしい体験だったのでは?
Nathan: New Orderのサポートをしたのは本当に素晴らしい経験だった。なぜなら、僕らは10代の頃からNew Orderの大ファンで、たくさん影響を受けたから。僕が覚えてる限りでは、New Orderは楽器による生演奏でダンスミュージックを創作した最初のバンドのひとつで、ライブ時のセットアップも旧来のバンドと同じだ。それはまさに僕らのやりたいこと。人と機械の競演だ!
Bruce:実はNew OrderとはIbiza Rocksでも競演している。Ibiza Rocksは、スペインのパーティー島と呼ばれる、イビザ島のホテルのプールサイドで開かれ、パーティー好きな人がたくさん集まるクレイジーなショーだ。とっても楽しいよ。僕らはFreddie Mercuryや80年代のロックスターがかつてたくさん集まっていたお屋敷でパーティーをしたんだ。思い出深い夜だった。6月にもう一度New Orderと舞台に立つのも、今から楽しみだ。会場は、マンチェスター近くの巨大衛星放送受信アンテナと天文学研究センターがあるJoderell Bank(ジョドレルバンク天文台)の麓にある。
今現在はどのような活動をしているのですか?
Bruce: 3枚目のアルバムの製作中だ。その中の数曲は、今月末の日本のライブでお披露目する予定。
Nathan:生の観客の前で新曲を発表するのはいいこと。正直な反応がすぐに返ってくるからね。
The Whipのトリビアネタを教えてください。
Nathan: メンバーの中にひとりもベジタリアンがいない。
Bruce:Feeは可愛い犬を飼っている。それから、僕らはそれぞれお酒の好みが違うんだ。Feeはウォッカ、Nathanはジン、それから僕はウイスキーが好き!
ありがとうございました。今月末のThe Whip日本全国ツアーに乞おうご期待! ツアーと最新アルバムのリリースに関する情報は公式ホームページにて。
ライブスケジュール
5月17日 O-Nest (東京)
5月18日 Party’z (名古屋)
5月19日 Club Vijon (大阪)
5月21日 Voodoo Lounge (福岡/博多)
5月22日 Metro (京都)
5月25日 Shimokitazawa Sound Cruising (東京)
執筆:Mark Birtles
翻訳:永田 衣緒菜