Bodi Bill インタビュー

Bodi Bill – “why should we chase the popular sound?” Main Image

この時代、この街でなければ生まれなかっただろうと思わされるバンドや音楽というのはしばしばある。たとえばニューヨークのストリートから歌声を届けたThe Sugarhill Gang。The Libertinesも、薄暗いロンドンの酒場でしか誕生しなかっただろう。ベルリン生まれのBodi Billの3人が作り出す音楽もまさに同じ。リズミカルなテクノとフォークミュージックの繊細さを持ち合わせた彼らの音楽は、凍えるように冷たいドイツの首都のイメージを強く呼び起こさせるのだ。2007年から活動をスタートしたBodi Billは、2枚のアルバムが大絶賛されたあと、新しいプロジェクトに取り組んでいる最中だ。Tokyo IndieはそんなBodi Billに過去と現在と未来について語ってもらい、ベルリン最大の秘密のひとつに迫った。

日本にはBodi Billを知らない人がたくさんいると思うので、まずは自己紹介をどうぞ。

Bodi Billは、子どものころからバイオリンとピアノを弾いてきたという、なぜかクラシック音楽のバックグラウンドを持つAlexとAnton、それからエレクトロニックミュージックのバックグラウンドを持つFabianの3人からなるトリオ。サウンドで実験することと、ポップ・ミュージックに3人とも興味がある。2007年にフォークミュージックとテクノを融合し始めた時から、僕らは無邪気にも現代のポップ音楽界の中で才能を発揮できる場所を見つけられると信じてきたんだ。

他のエレクトロニック・ポップアーティストとBodi Billの違いは?

時々ルールを破るのが好きなこと。といってもルールというものをまず知らないんだけど…。たとえば、たとえ多くの人にとっては安っぽく、不気味で粗雑なサウンドであったとしても、いつも僕ら独自のサウンドを作りたいと思っている。なぜポピュラーなサウンドを追求しなきゃいけないのかな?
人気でも主流の音楽でもないのに、たくさんの人を魅了する音を作ろうとするほうがもっと楽しい。残念ながらある特定のコツというものを使わないと、くだらない音楽になってしまうことはたまにあるけれど。それからBodi
Billのライブは、ビート音とシンセ音のミックスにバイオリンとボーカルとギターが加わるというエンターテイメント性に溢れるショーなんだ。


ベルリンにはたくさんミュージシャンがいますが、そのことでBodi
Billとしての地位を確保していくのが難しくなったり、逆にそのことが後押ししてくれるということはありますか?

KalkbrennerやModeselektor、Apparatなどが登場したベルリンのビックウェーブに乗るには、僕らの結成は遅すぎた。だけど幸運なことに、この3年間で僕らのスタイルを確立できたんだ。結成当初はBodi
Billのサウンドは誰にも好かれなかったけど、ライブをおもしろいものにしてきたことでなんとか生き残れたし、レコードを発表し続けることができた。昨年、僕らの前作であるWHAT?を発表して以来、ベルリン音楽シーンでの活動は順調だと思う。

今はどんなことに取り組んでいるんですか?

Bodi Billとしての活動は少し休もうと決めた。5年間3人で集中して活動してきたから、来年は一息つく時だ。Alexは、ある素晴らしい女性歌手との新しいバンドUNMAPの活動をしていて、AntonとFabiはTHE/DASとして来春に作品を発表する予定。でもその前にデビュー作として、12月にTales Of Usとのコラボレーション作品をリリースするよ。


これが無くては生きていけないと思う楽器か機材ひとつを挙げるとしたら?

Anton:ピアノ(過去のある時期はギターって答えていたと思うけど、それはピアノを弾くのが流行じゃなかったから)
Alex:バイオリン(昔は僕もピアノが一番だった)
Fabi:シンセサイザー(今はthe Jupiterを愛用)

デビューアルバムTwo In Oneの頃と比べるとどんなことに変化がありましたか?

アルバムWHAT?では、インストストロメンタルや中途半端なテクノはやめて作詞作曲に力をいれようと決めた。僕らの強みは言葉と音を融合させることだと気づく必要があった。だからたくさん歌ったよ。それからライブショーもよりおもしろくなるように工夫した。まずはステージ上のシンセ音とベース音にライブ感を出すために4人目のミュージシャンを入れた。さらに才能あふれる女性3人とビジュアル担当の男性1人の協力のもと、おもしろおかしなビジュアルや衣装、小道具を取り入れた。結局ツアーは、僕ら3人だけじゃなくて、8人の大家族としてまわったんだ。

The Tale of Usとのコラボ作品The Das’ Freshwater EP は、Me and My Drummer のリミックスと同じくSinnbus Recordsより発売中。Unmap はデビューアルバム発表に向けて作業中。Bodi Bill としての3枚目のアルバム発表も近い将来に期待しよう!

執筆:Mark Birtles

翻訳:永田 衣緒菜

2012年12月7日