Blue Hawaiiインタビュー

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Blue HawaiiとそのレーベルArbutus Records、そしてその他多くのBlue Hawaiiと同種のモントリオールのバンドは、2010年初期に次々と誕生した。それは、カナダの音楽シーンが画期的な変化を遂げた時期であり、Grimesを生み出したことでもっとも知られる時代だ。Blue Hawaiiはその年の5月、8曲で構成されたEP ‘Blooming Summer’をリリースした。メンバーが中央アメリカを旅した後にレコーディングが行われ、女性ボーカルによる濃密なハーモニーと、サチュレーションされたシンセサイザー、ギター、そしてドラムマシンの音色が特徴的な、温もりと斬新さを表現した作品だった。しかしその後、元々BraidsのボーカルであるRaphaelle Standell-Prestonは、Braidsとして頻繁にツアーをするようになり、一方でヨーロッパに移り住んだAgor(別名Alexander Cowan)は、ダンスミュージックやエレクトロミュージック、そして制作へと深くのめり込むようになる。

2人は、2012年に ‘Untogether’の制作を決めた。元旦にバンクーバーでレコーディングをはじめ、 夏にかけてモントリオールにて不定期に制作を進めた。冷たいエセリアルなサウンドが印象的な本作は、Tokyo Indieが知る中でも時代の先を行く作品であり、Tokyo Indieが選ぶ2013年ベスト作品のひとつである。この素晴らしいレコードを作るに至った過程を探ろうと、Tokyo IndieはRaphaelleとAgorにインタビューをお願いした。

2枚目のアルバム ‘Untogether’がリリースされたばかりですね。嬉しいですね。素晴らしい作品だと思います!‘Blooming Summer’のアレンジや質感は良かったけれど、新作では真の実力を発揮したのではないかと思います。前回のリリース以来、どんなことを学んだのでしょうか?

前作と新作の間には長い休憩期間があったので、 ‘Untogether’の製作には自分達の意志を反映しました。たくさんのオプションを目の前に、どれを選ぼうかな、と選択できる状況だったのです。ポップなアルバムを作ることもできたけど、そういう気分ではありませんでした。コンセプトとしての「過程」に興味があったので、その結果、曲を書いて少しずつ作品に切り分けていきました。過去からの離脱、‘a hallow dustiness’(清らかだけど、ドライな感じ)が最終的に得た感覚でした。作品を創造して行く過程で私たちが持っていたリアルな感情です。 ‘Blooming Summer’の軽快なポップではない。この感情に流されるまま、自分の意志を盛り込む方法でこの作品を製作しました。これから先は、シンプルな愉しさ、単一的なアレンジに戻そうと思っています。

前回の作品では、楽曲を作る際にAbletonを使い、アナログにマスタリングしたと聞きましたが、今回も同じ方法をとったのですか?

そのことに触れてくれて嬉しいです。前作では、アナログに変換したことにより、音がうまく融合し、それがアルバム全体のコンセプトにもよく合っていました。’Untogether’の音楽に関しては、その音色はより単純で、ゆったりとしていて、すべてが電子音です。もし似た方法でマスタリングしていれば、より温かみのある、ハーモニーが美しい音色になったと思います。おもしろいことに、テストプレスからレコードが戻ってきたとき、Agorがこのバージョンをデジタルにしたいと主張したので、レコードの音をデジタル用に録音し直して、アルバムのメインコピーとして発表しました。それが楽曲をひとつにまとめる最後のチャンスだったのですが、先に話したように、音の間にある空間と軽快さが、レコード中の私たちのムードを反映していて完璧だったんです。

2人は、元々それぞれ違うバンドで活躍していますね。どうやって、Blue Hawaiiが始まったのですか?

出会いはAgorが活動していた小屋にて。このバンドはいつもサブプロジェクトではあるけれど、私たちの成長と共に、このバンドからしか生まれない新しいサウンドとアイディアを開拓するようになりました。だからすごく楽しいし、もっと続けて行きたいと思っています。

Grimesと一緒によく話題に上りますね。音楽的にも多くの点で似ています。なぜモントリオールは、こういったエセリアルポップを輩出するメッカとなったのでしょう? 何か特別な秘密があるんでしょうか?

モントリオールは、多種のアーティストの集まる小さなミーティングスポットなんです。そこで生まれる音楽やアートを生み出すアーティスト達はモントリオール出身ではないのが特徴。やりたいこと、追求している美学を披露できるホームのような場所。あらゆるジャンルが協力し合って、それがうまくいくことが愉しい。エレクトロニックのことが多いけど、本当にどんなジャンルでも可能なんです。友達のように親しくし、よい生活をしたいという人々が皆集まり寄り添っているんです。

インディ-界のスターと密接な関係にあることで、不利になることはないのですか?

Claire(Grimesの本名)は親友です。高校時代はベストフレンドで、お互いをよく理解し合っていました。彼女は私たちのコミュニティに多くのエネルギーを与えてくれます。それは人々の振る舞いを変えてしまうほど。私自身彼女に影響を受けているし、尊敬しているし大好きなんです。

来日について積極的に考えているとどこかで読んだのですが、近いうちに日本に来る予定はありますか?

日本に行くことは大きな夢です。文化、映画、アート、言葉、すべてが美しいから。だからよく来日については話しています。行くとしたら来年の1月かもしれませんが、様子見の段階です。聞いてくれてありがとう。±_±

執筆:Mark Birtles

翻訳:永田 衣緒菜

2013年4月6日